スタッフは理学療法士(PT)15名、作業療法士(OT)9名、言語聴覚士(ST)8名、視能訓練士(CO)1名、計33 名の職員で構成されています。医療的視点と、発達を促す療育的視点の両面から小児リハビリテーションを実践しています。また、子どもとその家族が地元で生活を送りながら、より効果的に発達を促すことができるよう、地元の病院・施設・発達支援センター・学校等と連携を密にしながら取り組んでいます。
その他、小児リハビリテーションの専門機関として、地域支援(道立施設専門支援事業、地域療育支援事業、連携セミナー、療育キャンプ)や北海道内の療育関係施設・病院のリハ専門職の受入研修、リハビリテーション専門職養成機関等での講義、見学実習・臨床実習の受入等も積極的に行っています。
理学療法(Physical Therapy:PT)
理学療法は先天的に脳や身体に障がいをもつお子さんや運動発達の遅れをもつお子さんなどを対象に実施しています。 具体的には、身体を動かしやすくするための筋肉に対するストレッチや関節可動域拡大など準備的な体操をはじめとして、座ること、立つこと、歩くことなどの姿勢保持やバランス、筋力トレーニングなどの基本動作や移動練習を行います。また階段昇降やジャンプ、スポーツ技能などの応用動作練習を行い、健康で豊かな生活を送れるように、運動療法を中心に実施しています。また効率よく、効果的に楽しく運動を学習できるように、様々な支援機器によるリハビリやゲームを取り入れたリハビリなどにも取り組んでいます。 重い障がいをもつお子さんに対しては呼吸や姿勢に対するケア、良好な姿勢・ポジショニングの検討などを実施し、ご家庭や地域の中でも継続して実施できるように支援しています。
作業療法(Occupational Therapy:OT)
作業療法はこころと体を元気にするリハビリです。コドモックルの作業療法では、日々の生活・育児の中でのお子さんやご家族の困り感に対して、一人一人の発達を評価検討して、様々な遊びや作業活動を通じて、日常生活の活動や内容に合わせた支援を行っています。具体的には「手を上手に使うための支援」「様々な遊び・遊具を通じての感覚の経験」「生活・学習に必要なスキルの獲得」などを行います。お子さんのチャレンジ・達成する気持ちやご家族の方のお気持ちに寄り添う支援を行います。
言語聴覚療法(Speech-Language-Hearing Therapy:ST)
ことば、きこえ、コミュニケーション、発音、食べること等に関して、相談や支援を行っています。
入院・外来では、遊びを通してやりとりを促し、ことばを育てるかかわりをします。そして保護者様に、ことばやコミュニケーションを促す生活・遊びの中での配慮点をお伝えし、お子さんとご家族がより生活しやすくなるよう支援します。また、入院では摂食嚥下機能の評価・指導を、医師・看護師・PT・OTなどと連携して実践しています。退院時には、
ご家庭でより「安全に、楽しく食べること」を支援します。
視能訓練(Orthoptics)、視能訓練士(Certified Orthoptist:CO)
視能は視覚(光覚、色覚、形態覚、動態覚など)や視機能(視力、視野、調節など)を包括して表すことばです。学習や成長発達において、視能は大切な役割をはたします。視能訓練士は、「どれくらいみえているか」を評価する、「みる」質を整える、「みえた」ものがなんであるかを学習しやすくする、「みよう」とするものをとらえやすくするなど、「みる」こと全般に携わります。具体的には、眼科診療において視機能評価を行い、必要により弱視や斜視に対して視能矯正(視能訓練)を行います。
また他職種連携により相乗的で効果的な支援を実現します。
生活支援病棟でのリハビリテーション
乳幼児から学齢期までさまざまな入院目的・入院期間のお子さんが生活をしている病棟です。
それぞれのお子さんの発達や状態に応じ、リハビリテーション専門職が医師の指示のもと、看護師、保育士、学校等と連携し関わっています。
遊びや生活の中でお子さんのやる気を大切にしながら、発達の支援(心身機能・日常生活動作・言語発達等)、姿勢調整・管理、食事支援(摂食・嚥下機能に合わせた食事介助等)などを中心とした関わりを提供しており、退院時には入院中の関わりがご家庭等での生活に生かされるよう、関連機関(地域の学校、子ども発達支援センター等)とも連携していきます。また、リハビリテーションの見学等も随時お受けしています。
医療病棟でのリハビリテーション
医療病棟は整形外科的手術後のリハビリテーションを行うことが多く、手術前には必ず他職種で手術前カンファレンスを行い、詳細な術式や方針、術後の管理を検討します。
術後はギブス装着中の姿勢管理やリハビリテーション、食事の評価をチームで行います。ギブスカット後のリハビリテーションは痛みの緩和を目的とした水治療、ホットパック、超音波などの物理療法を合わせながら、お子さんのモチベーションに寄り添ったリハビリテーションを提供しています。廃用性で落ちた筋力を回復するよう座位、立位、歩行練習などをすすめ、機能改善を目指します。
親子入院でのリビリテーションについて
お子さんの心と身体の発達、育児を、専門スタッフがチームでサポートします。遊びやリハビリテーションのプログラムを親子一緒に行います。
理学療法士:PT 身体の使い方や関わり方を親子一緒に学びます。 必要に応じ補装具等の調整を行います。
作業療法士:OT 全身や手を使った遊び・感覚遊び・食事や着替えなど、遊びや生活動作全般に関わっていきます。
言語聴覚士:ST ことばとコミュニケーションを育てるための関わり方と、「食べること」について支援します。
視能訓練士:CO ご要望に応じ、視能評価や相談を承ります。 親教室で、お子様の発達に関わる「みる」について解説します。
医療部門(A・B病棟、NICU・GCU、PICU)でのリハビリテーション
医療部門には治療や医療的関わりが必要なお子さんが入院しており、それぞれに必要な医療にあわせたリハビリテーション(PT・OT・ST)を行っています。
A病棟には呼吸障害、てんかん、先天性心疾患、小児がんなどの疾患があるお子さんが入院しています。B病棟には先天性心疾患、消化器系疾患、水頭症、二分脊椎症、脳性麻痺などの疾患で脳神経外科、心臓血管外科、外科による手術や治療を必要とするお子さんが入院しています。呼吸が楽に行えるよう呼吸理学療法やポジショニング、長期臥床により体が動かしにくくならないよう、関節可動域訓練や筋緊張の緩和など行います。退院時には日常生活が送れるよう、座る、移動する、食べることなども練習します。また、集中治療室(PICU)では、外科手術後や重症感染症、循環器疾患などがあるお子さんの治療をしています。早期離床リハビリテーションとして医師、看護師、理学療法士で総合的なリハビリテーションを行うほか、ご家族とお子さんが触れあえるようお手伝いをしています。
新生児病棟(NICU・GCU)には、出生後早期に治療や身体の成長支援が必要な赤ちゃんが入院しています。リハビリテーションでは、哺乳練習や成長を促すかかわり、安楽な姿勢(ポジショニング)の提供、その他理学療法(呼吸理学療法、関節可動域訓練など)を行います。また、ご家族と一緒に抱っこや赤ちゃん体操を行い、お子さんの様子や発達を促す方法について学びの場を作るようにしています。
在宅支援に向けた支援をチームで行い、必要時にはベビーカーや移動用バギー、カーシートなどの支援機器の調整や貸し出し、作成を行い、退院後の住環境に関わる相談も受けています。
外来でのリハビリテーション(PT、OT、ST)
運動やことばなどの発達に心配のあるお子さん、疾患により特別な個別的支援が必要なお子さんなどに対して、リハビリテーションの実施、及び家庭での関わり方のアドバイスを行っています。小児のリハビリテーションは、お子さんの多様な状態やニードに合わせて、遊びやスポーツなど楽しめる活動を取り入れ、本人のモチベーションを促しながら行っています。
外来のリハビリテーションを受けるためには、リハビリテーション小児科、リハビリテーション整形外科、小児精神科、耳鼻咽喉科の定期的な診察とリハビリ処方が必要です。
お子さん、ご家族を中心とした地域との関わりを大切にしたリハビリテーションを提供するように心がけています。
精神科外来でのリハビリテーション(グループセラピー)
面適応や対人関係、集団参加に苦手さを抱える通常級に在籍している小学生のお子さんを対象にしたグループと、肢体不自由のある小学生のお子さんを対象にしたグループを5グループに分かれて実施しています。
児童精神科医の指示のもと、公認心理師、保育士、療法士がチームとなってアプローチを行います。
火曜日と金曜日の15:45~16:45で、月1~2回程度行い、活動期間は4月から翌年3月までで、2年間を継続期限としています。
楽しく活動に参加することが一番大切だと考え、活動内容として外出や運動、制作、集団遊びなどを行い、グループで活動することで、達成感や自主性を高め、仲間意識を育てていきます。
耳鼻科でのリハビリテーション
医師の指示のもと、STが、各種聴覚検査及び、補聴器の調整等を行います。聴覚検査は、お子さんの発達に応じた検査を実施し、保護者様へ検査結果とかかわり方の配慮点をお話しています。補聴器については、適応と開始時期の判断から、調整、補聴効果の評価を行います。必要に応じて、人工内耳の説明や、手術を行う病院への紹介、聾学校との連携も行っています。
眼科(視能訓練)でのリハビリテーション
視能訓練士は眼科診療に関わる視機能検査を担います。主に弱視や斜視に関わる屈折検査、視力検査、眼位検査※などを行います。「どれくらい見えているか知りたい」「検査がうまくできない」というご相談に応えられるよう、熟練した技術で視機能を評価します。また、治療用眼鏡の処方(光学的視能矯正)に力をいれており、適正な眼鏡度数の決定、治療用眼鏡に関する解説、眼鏡作成時の注意点、経過観察中の眼鏡装用指導などをきめ細かく行い、治療効果が高まるように努めています。
※屈折検査:遠視や乱視などを調べる、視力検査:こまかなものがどれくらい見分けられるか、眼位検査:斜視の検査