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小児精神科

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小児精神科について

子どもの心の症状は、社会の中で生きていく能力が発達途上である子どもと、環境との間のストレスが原因となり生じることが多いといえます。そうであるがゆえに、家族をはじめとした周囲の大人がしっかりと子どもを支えてあげたり、子どもをとりまく環境を調整したりすることにより、改善していくことが少なくありません。また、心の症状を持ちながらも、子どもと周囲の大人が、その症状の背景にあるストレスの原因を考えながら症状とうまくつきあっていくことにより、子どもがより健やかに成長・発達していくことは可能といえます。
当科は、小児総合病院の精神科として、以下の3つを診療の柱としております。

乳幼児から中学生までの子どもの精神症状の診断・治療

対象となる症状

乳児期:過剰に泣き続ける、離乳食をうけつけない、睡眠の問題、お母さんにしがみついて離れない、目があわない、ぼーっとして反応が悪いなど。
幼児(1-6歳):ことばの遅れ、環境の変化を嫌がる、一人遊びが続き呼びかけても反応しない、同世代の友達と遊べない、かんしゃくがひどい、ちょろちょろして落ち着かないなど。
小中学生:学校や家庭での適応の問題(不登校、対人関係の問題、学習困難など)、強い不安(手洗いや確認ばかりをしている、人前で過剰に緊張するなど)、抑うつ(食欲低下、不眠、意欲低下、倦怠感、気分の落ち込みなど)など。

診察および治療

初診は約1時間の時間をかけ、子どもの状態の診察(必要に応じて簡単な検査)と家族から現状や生育歴をお聞きしながら、心の状態に関して診断していきます。幼児の場合、医師、公認心理師、作業療法士、言語聴覚士、保育士の多職種によるチームで診察する場合もあります。
治療は、疾患によって異なりますが、子どもや家族との定期的な面談、精神療法(遊戯療法、言語的精神療法など)、集団療法(発達障害の小学生対象)、作業療法、言語療法、薬物療法などを組み合わせて行います。家族や本人の同意の上で、幼稚園、保育園、学校などと関わり方などについて話し合うこともあります。当院で行われるのは外来治療のみです。入院が必要なお子さんは他の施設を紹介させていただいております。

身体疾患・障害をもつ子どもの精神症状の診断、治療、精神発達のサポート(小児リエゾンコンサルテーション)

他科に通院あるいは入院中の子ども(身体疾患・障害をもつお子さん)が、精神的にも健やかに発達していくための支援です。

外来や入院病棟での診察、相談、そして、病棟スタッフとのカンファレンスなどを通じて、身体疾患をもつ子どもの心のサポートをしていきます。

希望がありましたら、主治医にお伝えください。

地域での乳幼児療育へのサポート

道内には児童精神科医はまだ数少なく、札幌、旭川などの都市部に限られます。

そこで、当科では、道内各市町村の発達支援センターで行われている、ことばの遅れや対人関係」上の症状をもつ乳幼児の療育への専門的なサポートを行っています。

詳しくは、地域の保健師か母子通園施設職員にお問い合わせ下さい。

当科における代表的な対象疾患

  • 自閉スペクトラム症:乳幼児期より、人とのかかわりより、物とのかかわりへの嗜好が強く、人と関わることの苦手さ、ことばの発達の遅れ、環境変化への過剰な不安恐怖、興味のひろがりにくさなどが生じるものです。

  • 注意欠如・多動症:注意がそれやすい、じっとしていられない、衝動をおさえることができないなど、年齢相応の衝動抑制が困難であることが特徴です。

  • 限局性学習症:知的には正常ですが、読み書きや算数などの特定の分野に困難が生じるものです。

  • 知的発達症:運動、社会性、言語、認知など発達の全般にわたって遅れが生じるものです。

  • チック症:まばたき、首ふり、鼻すすり、発声など、不随意な運動が起こる障害です。小児の場合、不安、緊張の強さのバロメーターと考えられる場合があります。

  • 身体症状症:なんらかのストレス要因に際し、心がそれを認知する前に身体が反応します。「おなかが痛い」「頭が痛い」「吐き気」などさまざまな症状をしめします。原因となるストレスが何であるか、本人がわかっていない場合も多いです。麻痺のような症状がでる場合、変換症といわれる場合もあります。

  • 不安症:特定の対象への過剰な不安、恐怖、回避のため、生活に支障をきたしている場合です。特定の対象(高所、閉所など)への恐怖症、人前での過剰な不安を呈する社交不安症などが含まれます。

  • 強迫症:不安のため何度も手を洗ったり、鍵が閉まっているか確認したり、不安な考えが頭から離れなかったりして生活に支障をきたしている状態です。

受診にあたって

まずは、地域の保健師、小児科、児童相談所、母子通園施設などに相談のうえ、ご予約下さい。とりわけ、身体症状の場合は、心のストレスと関連していると思われる場合でも、身体の病気を見逃すといけないので、地域の小児科を受診し紹介状をもらってからご予約下さい。

業績

2022年

論文

  1. 才野 均 重度重複障害がある子どもと家族への精神医学的支援 ―小学高学年までの支援― 思春期青年期精神医学32:72-79, 2022.

講演

  1. 花香 真宣 「発達障がい ―支援の在り方―」.(2022.5.27 当別町 道立施設専門支援事業専門研修)

  2. 才野 均 「逆境的小児期体験(ACEs)とこころの発達」.(2022.6.17 新冠町 道立施設専門支援事業専門研修 Web)

  3. 才野 均 「コロナ禍での小児精神科外来における親子への支援」. (2022.7.2 北海道通園センター連絡協議会研修会 Web)

  4. 才野 均 「子どものこころの発達と支援について」.(2022.10.7 黒松内町 道立施設専門支援事業専門研修 Web)

  5. 才野 均 「発達障がいを持つ子どもの支援 ―子どものこころの発達とそのつまづきについて」.(2022.12.2 千歳市 道立施設専門支援事業専門研修 Web)

2021年

学会発表

  1. 金井由美子、才野 均 特定機能周産期母子医療センターのNICUにおける家族に対する心理支援. 第30回日本乳幼児医学・心理学会 (2021.3.13 Web)

講演

  1. 才野 均 「子どものこころの症状と支援について」.(2021.6.11 新冠町、2021/11/18 平取町 道立施設専門支援事業専門研修 Web)

  2. 才野 均 「胆振東部地震災害時の子どものこころのケア」.(2021.9.3 Web 「災害時のこころのケア研修」)

  3. 才野 均 「子どものこころの発達とそのつまづきについて」.(2021.10.12 岩内町 地域連携セミナー Web)

  4. 才野 均 「子どものこころの発達と支援について」.(2021.11.18 平取町 Web)

  5. 花香 真宜 「みんなで繋がる発達支援策」.(2021.12.16 今金町)