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麻酔科

麻酔のしおり

麻酔って安全なの?

お子様の手術や検査が決まり、全身麻酔が必要だと言われて、とまどわれた方も多いと思います。「麻酔って何だか怖そう」「時々新聞に、麻酔の事故の話が載っているし・・」麻酔に対して、そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
当センターには麻酔科の専門の医師がいて、麻酔を行っています。患者さんやご家族のご不安を少しでも減らし、安心して麻酔を受けていただけるよう、このしおりを作りました。
麻酔の前には、麻酔科医師が必ず麻酔の説明に参ります。ご不明な点がありましたら、何でもお聞きください。

日本麻酔科学会の「麻酔関連偶発症例調査」について

麻酔科医の集まりである日本麻酔科学会では、1991年から継続して、麻酔に関連して起こった偶発症(合併症)について調査しています。これは全国規模で行われ、医療の分野では他に類を見ない大規模な調査です。麻酔についてだけこのような調査が行われるのは、麻酔という技術が完成されていて、施術者によって成績に大きな差がない、というのが一つの理由でしょう。
この調査結果を見てみますと、2001年の調査では、麻酔が原因となった死亡症例は1,284,957例中13例、2002年では1,277,045例中14例となっています。これは大体9~10万人の麻酔のうち1回起こる割合で、残念ながら0ではありません。しかし、当センターでは、1988年の開設以来、麻酔が原因となった死亡症例は1例もありませんでした。

麻酔科医について

麻酔科標榜医、麻酔科専門医/指導医、認定病院
麻酔科標榜医とは、麻酔に2年以上専従した時、厚生労働省に申請できる資格です。更に2年の勤務の後、筆記試験と口頭試問に合格すれば、麻酔科専門医として学会から認定されます。その後5年の実績が認められ、初めて指導医の資格が得られます。
日本麻酔科学会が認定する認定病院とは、原則として数多くの科の手術が行われており、麻酔科専門医がひとり以上勤務して若手麻酔医を指導しながら麻酔業務を行っている病院で、学会の審査をへて認定された病院です。

麻酔科医の仕事

麻酔中、麻酔科医はこんな仕事をしています。

麻酔科医の仕事

患者さんを眠らせる 麻酔科医の重要な仕事です。手術や検査の間、患者さんがいやな思いをしないよう、眠っていられるようにします。 痛みを取り除く 眠っただけでは、嫌なことをされた時に起きてしまうかも知れません。麻酔中は、眠っている間も、患者さんの体が痛みを感じないようにしています。大きな手術では、手術の後の痛み止めも麻酔科が行うことがあります。

患者さんの状態を安定させる
あまり知られていませんが、麻酔科医の大切な仕事です。患者さんの血圧や脈拍を測り、できるだけ安定した状態を保つようにします。麻酔中の呼吸を助け、点滴の量を調節し、出血が多い時には輸血を行います。手術を行う先生方が手術に集中できるように、患者さんの状態を常に見張っているのが麻酔科医の仕事なのです。

 

手術室の外では・・・
手術や検査の麻酔をかけるほか、その経験を生かして、ICUで働いたり、人工呼吸器の設定をしたりします。在宅で特別な治療(気管切開、酸素吸入など)をする外来患者さんの診察をすることもあります。そのほか、小児の救命救急について、院内講習会を開催したりしています。

麻酔科医が知りたいこと

安全な麻酔のため、麻酔科医は次のようなことを知りたいと思っています。該当することがありましたら、麻酔科医にお申し出ください。

ご家族やご親族で、全身麻酔で問題があったことはありませんか?

非常に稀ですが、麻酔に対して特別の反応をする体質の方がいらっしゃいます。その方が麻酔を受けると、「悪性高熱症」という重大な合併症を起こすことがあります。その体質は遺伝することがあるので、ご親族でそのような方がいらっしゃいましたら、必ず麻酔科医にお知らせください。

最近2週間以内に風邪を引きませんでしたか?

麻酔をかけると、咳や痰が多くなることがあり、とくに風邪気味や風邪を引いたあとにひどくなる傾向があります。重症の場合には、無気肺(痰で肺の一部が詰まってしまう)や肺炎を引き起こしたり、人工呼吸を必要とするような呼吸障害を起こしたりすることがあります。

手術(検査)の種類や、風邪の程度によって、麻酔をかけられるかどうかを判断します。2週間以内に風邪を引いている場合には、必ずご相談ください。

最近2週間以内に風邪を引きませんでしたか?

もともと喘息をお持ちの方では、麻酔によって発作が引き起こされることがあります。喘息の患者さんに麻酔をかける時には、発作を起こしやすい薬を避けたり、できるだけ気道を刺激しない麻酔方法を選択したりします。

喘息はありませんか?

薬、食べ物、ゴム製品のアレルギーはありませんか?

麻酔薬の中には卵や大豆を原料にしたものがあります。薬に限らず、食べ物やその他のアレルギーについても教えてください。
また、最近、手術用ゴム手袋に対するアレルギーが問題となっています。ゴム風船、輪ゴム、炊事用ゴム手袋などで皮膚が荒れたり赤くなったりしたことはありませんか?また、キウイやバナナ、マンゴーフルーツのような果物のアレルギーがある方は、ゴムでもアレルギーが起こるおそれがあります。そのような患者さんでは、特別のゴム手袋を使いますので、お知らせください。

ぐらぐらしている歯はありませんか?

麻酔の時に、口から管を入れることがあります。そのとき、虫歯や生えかわりのためにぐらぐらしている歯があると、引っかかって取れてしまうことがあります。抜けかけていた乳歯が取れるだけなら問題ありませんが、気管に落ちてしまうと大変です。取れそうな歯がある時は、必ず教えてください。

吸入麻酔による全身麻酔1

全身麻酔では、最も一般的な方法の一つで、小児センターで麻酔を受ける患者さんのほとんどがこの方法で麻酔をしています。
ガスの麻酔薬を使う方法で、患者さんは麻酔の間、ずっとこのガスを吸い続けています。吸い続けている限り、途中で目が覚めることはありません。手術(検査)が終わったら、麻酔のガスを止めて酸素を吸えば、10~30分くらいで目が覚めます。
麻酔の始め方(導入)に、2つの方法があります。

 

マスクをつかって導入
あらかじめ点滴をとっていない時に行います。お顔にマスクを当てて、ガスの麻酔薬を吸ってもらいます。マスクにお菓子や果物の匂いを付けておくこともあります。数十秒から数分で眠ってしまいます。

 

点滴をつかって導入
先に点滴の管を入れた場合は、そこから薬を入れます。点滴の途中の三方活栓(三活)というところから麻酔の薬を入れると、数秒から数十秒で眠ってしまいます。この薬だけではすぐに目が覚めてしまうので、眠った後は顔にマスクを当てて、ガスの麻酔薬を吸ってもらいます。

吸入麻酔による全身麻酔2

麻酔中は呼吸が弱くなったり、自分で呼吸ができなかったりするので、呼吸を助けてあげなければなりません。それには3種類の方法があります。

 

マスク
短時間で終了する手術や検査のとき、マスクのままで麻酔をかけることができます。麻酔薬はマスクから吸ってもらい、患者さんは自分で呼吸ができます。

 

ラリンジアルマスク
口から特殊な形のマスクを入れる方法です。患者さんは自分で呼吸をすることができますが、麻酔科医が呼吸を助けることもできます。比較的短時間の手術や検査で行います。

 

気管内挿管
気管に管を入れる方法です。小児センターで麻酔を受ける患者さんの7割がこの方法で麻酔を受けています。
麻酔中は、患者さんの呼吸を一時的に止めて、代わりに人工呼吸を行います。麻酔のガスは気管に入れた管から流します。
気管の管は抜いて帰ってくることがほとんどですが、心臓の手術など一部の場合には、手術後も気管の管から人工呼吸を続けることがあります。

 

静脈麻酔による全身麻酔や鎮静について
ガスの麻酔薬の代わりに点滴の麻酔薬を使う方法です。
ガスの麻酔を避けた方がいい場合や、検査の時などに行うことがあります。
「鎮静」の場合は、過度の緊張を避けるために、軽い眠り薬を使用します。全身麻酔を必要としないような、痛みのない短時間の検査や、年長のお子様の検査などで行います。

全身麻酔の合併症

歯のぐらつき、抜け落ち

気管に管を入れたり抜いたりする時に、起こることがあります。ぐらぐらしている歯がある時は、事前にお知らせください。

上気道閉塞

麻酔のあと、完全に目が覚めるまでは、普通より深い眠りになるために、空気の通り道が狭くなって呼吸が苦しくなることがあります。普段からいびきをかくなど、息が詰まりやすいお子様では、起こる可能性が高くなります。必要な場合には、肩の下に枕を入れたり、鼻からエアウェイという管を入れたりすることがあります。すっかり目が覚めたら、取り外します。

喘息発作

もともと喘息をお持ちの方では、麻酔によって発作が引き起こされることがあります。重症の場合には、予定していた手術や検査が行えない場合もあります。

痰や咳の増加

麻酔をかけると、咳や痰が多くなることがあり、とくに風邪気味や風邪を引いたあとにはひどくなる傾向があります。重症の場合には、痰で肺の一部が詰まってしまう無気肺になってしまうこともあります。

喘息はありませんか?吐き気、嘔吐、頭痛

麻酔のあとに吐き気、嘔吐、頭痛などがおこる場合があります。

覚醒後の興奮

麻酔の覚め際に、興奮して暴れてしまう場合があります。一時的なものなので心配はいりませんが、ひどく暴れる場合は麻酔科医を呼んでもらってください。

のどの痛み

お口から管を入れる麻酔をした後には、のどが痛くなることがあります。数日で良くなりますが、ひどく痛む時は麻酔科医や病棟看護師にご相談ください。

無呼吸

生後3ヶ月以内の赤ちゃんや、未熟児で生まれた赤ちゃんでは、麻酔のあと、呼吸をお休みする発作が起こることがあります。とくに重症な場合には、人工呼吸が必要になることがあります。

神経ブロック

背骨の中を通っている太い神経の近くに麻酔薬を入れて、おなかの痛みを取る麻酔のことです。全身麻酔だけでも痛みを取ることはできますが、神経ブロックの麻酔を同時に行うことで、全身麻酔の量を少なくすませることができます。
血液が固まりにくくなる薬を飲んでいるときや、血液が固まりにくい病気のときは、行えないことがあります。背骨や脊髄に病気がある時も行えないことがあります。
脊柱の変形が強い時は、注射ができなかったり、麻酔薬が均等に流れなくて効きが不十分だったりすることがあります。

 

仙骨硬膜外麻酔
体重が20kgくらいまでの比較的小さいお子様に適しています。
全身麻酔をかけた後、おしりのちょっと上のあたりから注射をします。麻酔効果は数時間続き、下腹部の痛みを取ります。効果が続いている間は、足が動かしにくかったりしびれたりするように感じるかも知れません。

 

腰部・胸部硬膜外麻酔
全身麻酔をかけた後、背中から注射をします。針を通して細い管を入れておいて、針を抜いた後もそこから痛み止めの薬を入れられるようにします。手術中の痛み止めとして使うほか、手術後の痛み止めにも使うことがあります。

 

脊椎麻酔
背中から注射をしますが、硬膜外麻酔より強力で、足がしびれて、自分では動かせなくなるほどです。
帝王切開や盲腸(虫垂炎)の麻酔にも使われることがあります。

神経ブロックの合併症

硬膜穿刺

脊髄神経は髄液という水の中にあります。硬膜外麻酔の時に、この髄液が入っている袋を傷つけてしまうことがあります。この場合には、あとで頭が痛くなるかも知れませんが、数日で治ります。

しびれ感、違和感の残存

神経ブロックのあと、しびれ感、違和感、脱力感などが残ることがごく稀にあります。ぼとんどの場合は、1週間から長くても数ヶ月で元に戻ります。管を入れたところ(硬膜外腔)の出血や感染が原因となることもあり、そのための治療が必要となる可能性もあります。

麻酔が終わったあと

麻酔からの目覚め

手術(検査)が終了したら、患者さんは手術室(検査室)で一旦目を覚ましてから、お部屋に帰ってきます。しかし、普段通りにすっきり目が覚めるまでには、少し時間がかかり、しばらく眠っているかも知れません。逆に、麻酔の覚め際に、興奮して暴れてしまう場合もあります。一過性のものなので心配はいりませんが、ひどく暴れる場合は眠くなる薬を使うこともあります。

抑制帯の使用

検査や手術が終わったあとには、傷のところにばんそこうが貼ってあったり、点滴やドレーン管など大事な管が入っていたり、無意識にさわってしまうと危険なものがあります。普段は聞き分けのいいお子様でも、麻酔の覚め際には多少もうろうとすることもあり、ばんそうこうをはがしたり、管を引っ張ったりしてしまうかも知れません。そのようなことを防ぐために、お子様の体や手足をひもなどで抑えることがあります。お子様の安全のためですので、ご了解ください。

飲水と食事

麻酔から完全に目が覚めて1~2時間後に、まず少量のお水を飲んでみます。もし、気持ちが悪くなったり吐いたりするようでしたら、麻酔や手術の影響が残っている場合がありますので、もう少し様子を見ます。年長のお子様では、麻酔そのものの影響が既になくなっていても、しばらく嘔吐を繰り返したりすることがありますが、麻酔のあとは必ず点滴をしていますので、すぐに水が飲めなくても心配はいりません。
お水を飲んでみて大丈夫だったら、今度は食べ物を食べてみます。おなかの手術などの場合は、すぐには食べたり飲んだりできない場合もありますが、麻酔の影響の問題だけなら、数時間後には食事ができるようになります。

術後の痛み止めについて

お子様が手術を受けられた後、痛みがないかどうかは、もっともご心配な点のひとつだと思います。痛み止めのための色々な方法があります。

 

坐薬
もっとも一般的な方法です。手術室で入れてくる場合もあります。

 

神経ブロック
硬膜外麻酔の管が入っている時には、そこから痛み止めの薬を入れることができます。ロケット型のポンプをつかって、少しずつゆっくり薬を入れることもできます。

 

注射の痛み止め
坐薬や神経ブロックの痛み止めが使えなかったり、効果が不十分だったりする場合には、点滴のところから痛み止めの薬を入れることができます。
点滴の途中から薬を入れるので、患者さんに直接注射をする必要はありません。

 

注射の痛み止めを持続的に注入
点滴のところから、痛み止めの薬を、ポンプで少しずつ入れることもできます。普通の注射器をセットして使うポンプの他、痛み止め専用の特別なポンプもあります。

手術室はこわくない!

手術室では、麻酔を受けるお子様が怖い思いをされないよう、色々な工夫をしています。

説明と同意

医療行為を行う前に、患者さんに十分な説明を行い、その同意を得ることは、最近では常識となっています。私たちは、小児の患者さんに対しても、きちんと説明し、納得したうえで麻酔に臨んでもらいたいと思っています。麻酔前日までには、麻酔科医師と手術室看護師が患者さんを訪問し、年齢や理解度に応じた説明をする予定です。
お子様が麻酔や手術を受け入れる為には、ご家族のご理解とご協力が不可欠です。よろしくお願いします。

前投薬

緊張や泣いてしまうのを防ぐため、手術室や検査室に行く前に、眠り薬を処方することがあります。
お子様の年齢に合わせ、坐薬、シロップ、飲み薬などがあります。

ビデオ鑑賞

お子様の好きなビデオを流し、見ながら眠れるようにしています。
アンパンマン、しまじろう、ポケモンなど各種ビデオを取りそろえています。
とくにお気に入りのビデオがございましたら持参していただくことも可能です。麻酔科医か手術室看護師にご相談ください。
手術室以外で行われる検査の時などは、対応できない場合があります。

匂い付き麻酔

ガスの麻酔薬を吸ってもらって麻酔を始める時、マスクに匂いを付けることができます。
バニラ、イチゴ、メロン、バナナなどの中から、お子様のお好みで選んでいただけます。

付き添い麻酔

お子様がねむるまでの短い間ですが、お母様(お父様)に付き添っていただくことができます。
手術室に入室する時は、お母様にはガウンや帽子を着用していただくことになります。
心臓手術などの大手術や、一部の手術では、入室していただけない場合もあります。麻酔科医か手術室看護師にご相談ください。

手術室安全対策

昨今マスコミなどで、医療事故に関する報道がたびたび見られ、ご不安に思われることも多いと思います。手術室でも、事故やミスを事前に防ぐことができるよう、様々な工夫を凝らし、一つ一つの行動を確認できるようにしています。

薬品ラベル

麻酔中は色々な種類の薬を使うので、注射器を取り違えたりすると大変です。手術室では薬品名のラベルを注射器に貼って、間違えないように工夫しています。

血液型カード

血液型を間違えて輸血してしまうと、重大な合併症を引き起こすおそれがあります。輸血をする時には、カルテで血液型を確認するだけでなく、大きなカードを掲げて何度も確認できるようにしています。

ネームバンド

患者さんの取り違えはあってはならない事故ですが、当センターでは他の病院のように、患者さんご自身にお名前をおっしゃっていただくのが困難な場合が多々あります。手術を受ける患者さんには必ずネームバンドをつけてきていただき、確認するようにしています。

こどもの麻酔Q&A

Q1.小さな子供に麻酔をかけても大丈夫でしょうか?
小さなお子様でも問題はありません。当センターでは、その日生まれたばかりの赤ちゃんや、未熟児で生まれた小さな赤ちゃんにも麻酔をかけることがあります。子どもに麻酔をかけることで起こる悪影響というものは、今のところは報告されていません。安心してお任せください。
Q2.この間も麻酔をかけたばかり。短い期間に何度もかけても大丈夫?
続けて麻酔をかけても問題はありません。検査や手術のスケジュールによっては、短い期間に何度も全身麻酔を受けなければならないこともあります。麻酔薬は非常に短時間で体から排出される薬ですので、続けて麻酔をかけても影響はありません。
Q3.麻酔をかける日は、朝ご飯を食べてはいけないと言われました。おなかがすいてかわいそう。どうして絶飲食にしなくてはならないの?
誤えんを防ぐためです。誤えんというのは、気管に異物が入り込む状態を言います。麻酔中に胃の中に食べ物が残っていたら、嘔吐してしまうかも知れず、それが気管に入ってしまうかも知れません。普通私たちは、食べ物が気管にはいると、むせて咳き込むことで、異物を吐き出そうとします。しかし、麻酔中はむせることができないので、気管に入ったものは、そのまま肺に流れ込んでしまい、肺炎などの重大な合併症の原因となります。おなかがすくのはかわいそうですが、絶飲食の時間は必ず守るようにしてください。
Q4.長い手術になると聞いたのですが、麻酔が途中で切れてしまわないか心配です
麻酔はずっとかけ続けているので、途中で覚めることはありません。全身麻酔は、手術や検査のすすみ具合を見ながらかけ続けていくものです。手術中に目が覚めてしまうというようなことはありません。
Q5.麻酔はどのくらいで覚めますか?
手術室を出る時には、麻酔はすでに覚めています 心臓手術の場合などの例外はありますが、普通の場合ですと、麻酔を切ってから30分くらいで目が覚めます。手術室ではいったん目が覚めたことを確認してから病棟へお帰りいただいています。病棟に戻ったあと眠ってしまうお子様もおりますが、麻酔が覚めないわけではないので心配ありません。
Q6.短い検査の麻酔だったのですが、戻ってきた娘の腕に点滴が入れられていました。点滴はなぜ必要なのですか?
いつでも薬を入れられるようにするためです。点滴は、水分や栄養を補うためにも使いますが、薬を入れる時にも使います。麻酔中はどんな不測の事態が起こらないとも限りません。そこで、あらかじめ点滴をとっておけば、いつでも薬を血管の中に入れることができるのです。そのため、どんな短い麻酔のときにも、点滴は必要なのです。
Q7.手術のことは子どもには話していません。話さずに知らないうちに終わらせてしまいたいのですが…
できるだけ本当のことを話してあげてください。小さいお子様に麻酔や手術のことをお話しするのは抵抗があるとおっしゃるお母様もいらっしゃるでしょうが、何の説明もなく、あるいは嘘の話をされて手術を受けたお子様は、非常な不安と恐怖を感じるかもしれません。どうぞお子様の年齢にあわせて、理解できる程度に麻酔や手術について話してあげてください。お子様なりに理解し、納得して手術に臨むことは、心理面の影響を考えても大切なことだと、私たちは考えています。

麻酔関連HP

「麻酔科医とは」「麻酔Q&A」など市民の皆様向けのコンテンツがあります。

小児麻酔についてのわかりやすい説明があります。