音声よみあげ

配色変更

文字サイズ

  • 標準
  • 拡大

小児泌尿器科

  1. HOME
  2. 診療科・部門
  3. 小児泌尿器科

小児泌尿器科とは?

小児泌尿器科は、小児の尿路(副腎、腎臓、尿管、膀胱、尿道)と性器(陰茎、陰嚢、精巣、膣 、鼠径部、外陰部)の全ての疾患に対して、内科的/外科的治療を提供する高度に専門化された医療分野です。
小児泌尿器科医は、日本泌尿器科学会が定めた泌尿器科の臨床研修修了後、さらに数年間の小児泌尿器科の臨床研修が必要です。上原医長は、国内有数の小児病院にて2年間の臨床研修を修了し、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会の泌尿器腹腔鏡技術認定を取得しています。西中医師は、米国医師免許証を取得し、米国泌尿器科学会が公式認定しているオハイオ州シンシナティ小児病院にて3年間の臨床研修を修了しています。

小児泌尿器科疾患

小児泌尿器科外来を受診なさるお子様の40〜50%は、「尿漏れ、尿失禁」を主訴とします。コドモックルは、排尿に関する診断と治療のための最新の設備とスタッフを完備しています。

コドモックルで、扱う主な疾患は、次のとおりです。

腎臓や尿路の先天奇形

先天性水腎症・巨大尿管症

嚢胞性腎疾患

膀胱尿管逆流症

尿管瘤・尿管異所開口

前部・後部尿道弁

尿道狭窄症

生殖器の先天奇形

尿道下裂

停留精巣

陰嚢水腫

膀胱外反症・尿道上裂

総排泄腔異常・尿生殖洞異常

性分化異常

包茎

女児の外陰部異常症

精索静脈瘤

尿路感染症

血尿

腎結石・尿管結石

神経因性膀胱

尿失禁

夜尿症

出生前胎児診断での尿路異常

小児尿路外傷

膀胱尿管逆流に対する内視鏡的注入療法への取り組み

内視鏡的注入療法は、低侵襲のため膀胱尿管逆流に対する外科的治療として第一選択として推奨されています。一般的に報告されている手術成功率は60〜70%です。当院では、2022年2月現在までに150本以上の尿管に内視鏡的注入療法を施行し、90%以上の消失率・改善率を誇ります。

小児尿路結石

上部尿路結石(腎臓や尿管に嵌頓した結石)に対しては、経尿道的尿管砕石術(尿道から内視鏡を挿入して結石をレーザーで砕く手術)を施行しています。

医療器機の進歩により適用できる小児の幅は拡がり、当科では就学前の乳幼児にておいても経尿道的尿管砕石術が可能です。但し部位や結石のサイズによっては対応できないこともあります。また小児に対する体外衝撃波破砕術(ESWL)は装置の開発に伴い身体の小さい小児においても施行可能となりました。

当院にはESWL装置はありませんが、適応がある場合には経験豊富な施設にご紹介させていただきます。

高度な尿道下裂

尿道口が陰嚢部や会陰部に開口する、手術が非常に困難である高度な尿道下裂に対して、以前は当科では二期的尿道形成(手術を二回に分けて尿道形成をする方法)をしていましたが、最近は一期的尿道形成(一回の麻酔で尿道形成をする方法)としています。

手術をするタイミングとして2歳頃までが適当ですが、陰茎(おちんちん)が小さい場合は3,4歳まで様子をみながら手術時期を決めています。

男性ホルモン剤を使用して陰茎を大きくする病院もありますが、当科では原則としてホルモン治療は不要と考えています。

非常に困難な手術のため手術合併症は高く、最近の報告でも30〜60%です1)。2014年から始め現在まで7例施行しましたが、合併症がなく、100%の手術成功率を維持しています。

文献1)Hypospadias: Are we as good as we think when we correct proximal hypospadias? CJ Long, DA Canning: Journal of Pediatric Urology, p. 196,2016.

二分脊椎症

小児脳神経外科,小児整形外科、小児リハビリ科、新生児科、小児外科、小児形成外科の医師、スタッフと密に連絡協議して最善の治療・管理方針を提供いたします。

コドモックルには、関連科と繰り返し協議して作成した「コドモックルにおける二分脊椎症疾患の尿路管理マニュアル」がございます。そのためコドモックルの医師、看護師、スタッフは、尿路管理の重要性を十分に認識しております。出生直後から成人期に至るまで、年齢に応じた適切な診断・治療を提供いたします。

尿路管理は、内科的治療が主体となりますが、医学的適応・社会的理由がある場合、コドモックルでは、下記の外科的治療を提供することができます。

膀胱拡大術

膀胱尿管逆流症防止術

膀胱頸部形成術

ミトロファンノフ式、モンティ・ミトロファンノフ式間欠導尿路作成

(Mitrofanoff/MontiMitroffanoff procedure)

順行性先腸路形成術 (MACE: Malon Antegrade Continence Enema procedure)

外科的適応の決定には、最新の知見・豊富な経験、そして確実な技術が必要です。米国での豊富な臨床経験から、予測される利点と欠点につきまして納得いくまで説明させていただきます。

腹腔鏡下手術

小児泌尿器科領域の腹腔鏡下手術は徐々に普及しつつありますが、まだ、適応が限られています。コドモックルでは、適応があり、技術的に可能であると判断した場合には、その利点と欠点、予想される結果と合併症を十分に説明いたします。

現在次の疾患に対して、コドモックルでは腹腔鏡下手術を考慮しています。

停留精巣

腎尿管摘除術

腎部分摘除術

腎盂形成術

順行性先腸路形成術 (MACE)

尿膜管関連疾患

顕微鏡下手術

思春期男児の精索静脈瘤の治療は、顕微鏡下手術を施行しています。

主な手術の術後平均滞在日数

精巣固定術: 1日
交通生陰嚢水腫根治術: 1日
腹腔内精巣に対する内視鏡手術: 1日
鼠径ヘルニア根治術: 1日
包皮環状切除術: 当日退院または1日
精索静脈瘤根治術: 1日
経尿道的尿管結石破砕術: 1日
尿道疾患に対する内視鏡手術: 2~3日
尿道下裂手術: 7日~10日
経尿道的コラーゲン(デフラックス)注入治療: 当日退院または1日
膀胱尿管逆流症手術: 1~3日
腎臓疾患に対する内視鏡手術: 1~2日
腎臓疾患に対する開放手術: 2~3日
女児外陰部形成術 7~10日
膀胱拡大術等の尿禁制手術: 14~21日

VCUG・V-FUD 子ども用パンフレット