小児耳鼻咽喉科について
対象は耳鼻咽喉科領域の疾患全般となっていますが、当センターの性質上受診されるお子さんの多くは難聴、中耳炎、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アデノイド肥大・扁桃肥大、呼吸障害(上気道の閉塞)、嚥下障害となっています。
お子さんの聴こえに不安を感じられて受診されたときは、当科では年齢に応じた聴力検査を行っています。当センターは新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査機関に指定されており、他施設で難聴が疑われご紹介いただいた場合ABR(聴性脳幹反応)、ASSR(聴性定常反応)などを用いた精密検査を行って早期診断し、医師・言語聴覚士が中心となった診断後の早期療育(補聴器も含めて)に努めています。言葉の遅れを心配され当科受診される場合もありますが、聴力障害の有無も含めた原因検索・言語指導を行っています。
中耳炎の中で、発熱や痛みを伴わず鼓膜の内側の中耳という空間に滲出液の貯留が継続する滲出性中耳炎を患ったお子さんが比較的多く受診されます。滲出性中耳炎は投薬など保存的治療で改善される場合もありますが、難治性の場合は中耳腔の換気をつけるために鼓膜切開、鼓膜チューブ留置などの処置もしています。
鼻閉や鼻汁などの鼻症状が続く場合、アレルギー性鼻炎や以前蓄膿症といわれていた副鼻腔炎の可能性もあります。血液検査・画像診断といった検査や、内服薬・点鼻薬などの保存的治療を中心に行っています。
いびきや睡眠中の異常呼吸がみられるお子さんの中に「睡眠時無呼吸症候群」を認める場合があります。小児では睡眠時無呼吸の原因が上気道(アデノイド肥大や扁桃肥大、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など)にあることが多いといわれています。当科では睡眠中の状態を入院の上検査・診断しています。
喘鳴(のどのゼロゼロ)症状に対して、上気道病変の有無を確認するためにファイバー(最小で外径1.8mm)を用い検査しています。また呼吸障害が強く呼吸器管理が必要となる場合、他科からのご紹介を受け気管切開を行っています。
嚥下(食べ物の飲み込み)障害についても小児科・耳鼻科・言語聴覚士で協力し検査診断および訓練を行います。誤嚥性肺炎(食べ物や唾液が気管内に入ってしまい肺炎となる)を繰り返す場合には外科的治療(喉頭気管分離術)を行う場合もあります。